下代田児童遊園

ウルトラマン「恐怖の宇宙線」4分31秒から5分15秒、落書きの怪獣が本当の怪獣となって子供たちの前に姿を現します。その場面が撮影されたのは世田谷区の下代田児童遊園だったようです。

下代田児童遊園内 東方向の眺め
2004年2月
写真1
下代田児童遊園内 西方向の眺め
2004年2月
写真2

写真1と2は現在のその公園の様子です。

写真1は公園内の東方向の眺めです。当時は公園中央にコンクリート製のかまぼこ型の遊具がありました。作品中ではその向こうに怪獣の尻尾が写っています。正面の建物は、公園のすぐ東側にある駒場学園高等学校の校舎ですが、建て替えられています。

写真2は駒場学園高校側から西方向を見た公園内の眺めです。ウルトラマン「恐怖の宇宙線」4分42秒、怪獣を指差す子供たちの後ろに写る団地の建物も既にありません。

このように下代田児童遊園は、同作品ラストに使われた月島第二児童公園と同じように、当時の姿を少しも残していません。そこで以下では、かつての公園の様子を確認できる資料を紹介します。

昭和49年の下代田児童遊園とその周辺
図1:昭和49年下代田児童遊園周辺の空中写真
(空中写真は国土交通省の国土画像情報(カラー空中写真)より引用)

図1は昭和49年の下代田児童遊園周辺の空中写真です。図中の「かまぼこ型の遊具」の位置が下代田児童遊園の中心です。そして図中の3つの矢印はそれぞれ写真1, 2, 3(写真3は後述)の撮影位置と撮影方向を表しています。矢印の始点が撮影位置で、矢印の方向が撮影方向です。

図1には、建て替えられる前の駒場学園高校の校舎が公園のすぐ東側(写真上では右側)に写っています。

図1の公園の西側(写真上では左側)にある団地らしき建物群があります。昭和45年の地図に照らし合わせてみると、これらの建物は下代田都営アパートのもので、公園のちょうど西側にその2号棟があることが分かります。ウルトラマン「恐怖の宇宙線」4分42秒に写る「2」と書かれた建物は、その2号棟と思われます。

昭和35年の下代田児童遊園
昭和35年
写真3

写真3は昭和35年の下代田児童遊園の写真です(文献[2])。公園の南側からの眺めになります。写真中央の子供の後ろに写っているのが、コンクリート製のかまぼこ型の遊具です。この遊具は「子供の山」というそうです。また、その後ろの塔は下代田都営アパートの給水塔だそうです。この塔はウルトラマン「恐怖の宇宙線」4分56秒に写ります。

以上のように、かつての下代田児童遊園およびその周辺はウルトラマン「恐怖の宇宙線」に登場する公園との共通点が多くあります。

ところで、ウルトラマン「恐怖の宇宙線」の監督である実相寺監督の著書(文献[1])では、そのロケ地を「淡島通り沿いの小学校」(P163)、「渋谷から代沢に向かって右側」(P165)としています。しかし、その著書ではその小学校が見つけられず、ロケ地が不明扱いになっています。下代田児童遊園は、淡島通り沿いであることと渋谷から代沢に向かって(図1の右から左へ向かって)右側であることは、その記述どおりです。これもまた下代田児童遊園がロケ地であることの証拠となると思います。